住宅ローンやその他の借金の返済が不可能になり担保の不動産を手放す必要が生じたときに裁判所が行う競売ではなく、債権者の同意の上で抵当権を外してもらってから不動産屋などを利用して不動産物件を売却して得られた代金を返済に充てることを任意売却といいます。
任意売却の最大のメリットは時間をかけて売却することにより競売よりも高い価格で売却できるケースがあることです。運が良ければ高い値段で売却できて借金を全額返済しても手元に資金が残る事があります。このため不動産物件の任意売却を売りにした不動産業者も多く存在しますが中には悪徳業者がいるので注意が必要です。例えば、任意売却を行えば○○万円の引越し代が出る、物件を売却すれば残債務の請求がなくなる、残ったローンを棒引きにしてもらえる、借金の保証人に返済してもらわなくて住む、ブラックリストに載らないで済む、などの文言を並べ立てる業者は要注意です。
不動産業者からしてみれば物件の売買契約が成立すれば仲介手数料を取れるし売れなければ損も得もしないだけなので、とにかく一件でも多くの売買案件が欲しいがゆえに不確実な事柄をあたかも本当に起こるかのような宣伝をしたり、明らかな嘘を言う事があります。物件を任意売却すれば必ずローンが全額返済できるとは限りませんし、自己破産をしない限り返済できなかった残りの借金の返済義務が消滅することもありません。不動産業者は物件を売却しなければ1円も仲介手数料が入って来ないので、手数料を目当てに安い価格で買い手を探して強引に売買契約を結んでしまうという悪質なケースさえ存在します。
任意売却の本来の目的は1円でも高い値段で物件を売却して借金の返済に充てるためであるはずなのに、不動産業者が仲介手数料を得るための手段として利用しているケースがあるのです。